学校独自の探究型学習である「自由研究」で『企業インターンワーク』に取り組む玉川学園高等部 地歴・公民科の硤合(そあい)宗隆先生に、お話を伺いました。
Q.トゥワイス・プランを導入されるきっかけは何でしたか?
1998年に教員を一度休職して、トロント大学の大学院に留学しました。
高校の授業をもっと充実させたいという想いから、当時日本では勉強できる場所のなかったグローバル教育を学びに行ったんです。
帰国して、再び玉川学園に戻ったところでTWICE PLANに出会い、『企業インターンワーク』を取り入れることにしました。
ものを学ぶのには、ただ単に講義を聞くだけではなく体験することがすごく大事。
僕の教えている選択科目の授業でも、ただの講義ではなくて、体験や感情を揺り動かすようなチャンスが必要だと思っていて、そういう自分のやり方、考え方がTWICE PLANと合致したんですね。
僕の専門の国際問題とはまた違う分野なのですが、元からいろいろと自分で組み合わせてカリキュラムをつくっていたこともあり、『企業インターンワーク』も公民科として取り組んでいます。
Q.授業をする上でどのような工夫をされていますか?
グループワークの中で、教師はファシリテーターという言い方をしますけれども、こちらから質問をどのように投げるかというところを意識していますね。
僕が何かについての結論を出すこともなく、とにかく生徒の価値観を揺さぶることが役目だと思っています。
その後は自分で考えなさいよという形で。
『企業インターンワーク』は、チームでやって、現実社会とのつながりを感じたり、時には大人からアドバイスをもらう機会がある。そこがとてもおもしろいと思います。
高校はきっかけづくりの場所になればいいと思っていますので。
Q.どのような効果がありましたか?
生徒たちが自動的に食いついてくれるのはもちろんですが、中にはずーっとのめり込んでいく生徒もいます。
でも、そういう優秀な生徒たちも、全国大会に出てみると、他校の生徒たちの全く違うアプローチに触れてショックを受けるんですね。そして、そこから自分を振り返ることでまた勉強になるということがありました。そういうことがおもしろいですね。
それにグループワークだと、やっぱり覚えてますよ。授業が終わっても、卒業しても、いろんなことを覚えてる。
体験したことって覚えてるんですよね。講義したことってあんまり覚えてない(笑)
Q.今後学校で、生徒たちにどんなことを学んでほしいですか?
僕自身は自分の授業で、途上国に生徒を連れて行くということもやってきましたし、国際学級の担任もしています。
なのでこれからは国際関係の仕事をする生徒がもっと出てきてほしいですね。
国連機関でも、NGOでもいい。
そういうクオリティは持っている生徒たちだと思いますが、チャンスがなかったり、おっかなびっくりだったり。
だから自信をつけて送り出すことをしたいです。
高等部にも留学生が出たり入ったりして国際色豊かな学校なのですが、そういう子たちが大学4年生になると、同じようなスーツを着て、同じような価値観で周りに合わせて進路を選ぶというのはもったいないと思います。
とはいえ、日本はこれから多文化社会になるので、国内でも外国人と仕事をするようになるのは目に見えてるんです。そういった意味でも、偏見とか人権について考えさせる授業をやっています。
ただ、そういうことは簡単に教えられるものではない。TWICE PLANのグループワークと同じように、体験をとおして考えてもらいたいのです。
「偏見持つなよ」「それが偏見かどうか気づけよ」と言っても、それは、体験をとおして感情を揺り動かしながらでないと本当の意味で学べませんし、すぐに忘れてしまうので。
生徒たちが豊かに生るために必要な教育とはなにかを、いつも探究し実践し続けていらっしゃる硤合先生。
“体験をとおして学ぶ”ことの大切さが、シンプルに、そして強い共感ととも印象に残るインタビューとなりました。
硤合先生、ありがとうございました。