さまざまな分野で活躍した人物の人生を題材に“ドキュメンタリー”を制作する、探究学習プログラム『人間ドキュメンタリーワーク』。
本レポートは、2017年度に『人間ドキュメンタリーワーク』に取り組んだ中学高校の生徒のみなさんを対象に実施したアンケートの結果をまとめたものです。生徒のみなさんからいただいた感想を集計・分析してワークの内容を改善すること、探究型学習の基盤づくりに貢献することを目的としています。
[調査期間]
・2017年4月1日 ~2018年3月31日
[調査対象]
・岩倉高等学校、京都両洋高等学校、東海大学付属浦安高等学校・中等部、東京都市大学付属高等学校
・449名
チームで楽しんでワークに取り組むことができましたか?
チームで役割分担をすることができましたか?
フリーコメント
○ 私たちのチームは、PowerPointを使ってまとめました。友達と相談したり、PCを操作する楽しさを改めて感じることができました。普段そんなに話さない人ともたくさん話すことができ、貴重な経験になったと思います。
○ チームのひとりひとりが持っている力を合わせて活動できました。
○ 100点ではないけれど、チームの4人がそれぞれの仕事で活躍できました。役割分担を決めたわけではなく、「あっ、じゃあそれ私やるわ」と言い合えたのでよかったです。
ー 86%の生徒がチームで楽しんで取り組むことが「よくできた」「とてもよくできた」と回答しています。ロールモデルの人生や仕事について、チームで話し合うことや調べた内容をPCでまとめることを楽しみながら取り組んでいたことがわかります。役割分担に関しても、「よくできた」「とてもよくできた」と答える生徒が85%でした。生徒のコメントからは、新しいコミュニケーションができたことや、自然と積極的に自分の役割を果たすことができたこと、チームとしてそれが活かされていたことに価値を感じていることがわかります。
チームで立てた計画に合わせて活動することができましたか?
チーム内のさまざまな意見に気づくことができましたか?
フリーコメント
○ チームのみんなとしっかり計画を立ててできたので、しっかりとプレゼンの練習をした上で本番を迎えることができました。
○ 普段はふざけていた人も真剣に取り組んでいました。あまり話さない人とチームになって最初は不安だったけど、だんだんと話せるようになったのでよかったです。
○ チーム内でもさまざまな表現方法があるため、ひとつのものをつくり上げるときに、たくさんの労力がかかるということがわかりました。
ー 76%の生徒がチームで立てた計画に合わせて活動することが「よくできた」「とてもよくできた」と回答し、78%の生徒がチーム内の意見に気づくことができたと回答しました。チームで計画性を意識して進めることをとおして、クラスメイトのいつもとは違った一面を見たり、それぞれの意見に気づいたりすることにつながっていました。話したことのない人と話し、それぞれに表現方法が違うことを知り、ひとつにまとめることは難しいけれど、だからこそチームでは自分だけではできない大きなことができるという声が多く見られました。
ロールモデルの人生について関心を持って調べることができましたか?
集めた情報の中から何を取り上げるかを考えてまとめることができましたか?
フリーコメント
○ ノーベル賞の授賞者なので名前は聞いたことがあったけど、意外なことがわかり、驚きながらロールモデルの人生についてリサーチしました。
○ 黒柳徹子さんの生き方や人生を詳しく調べて知ってから、テレビ出演しているときの見方も変わりました。
○ 王貞治さんの意外な一面に気づくのがおもしろく、みんなにも知ってほしくて、そういった内容を集めてプレゼンにまとめていきました。
○ たくさんの情報の中からテーマに沿った内容に絞り、プレゼンをつくる作業に少し苦戦しながらも、なんとかやり遂げられました。
ー ロールモデルの人生について関心を持って調べられたと回答した84%の生徒からは、「違う人生を知ることができてよかった」という感想が多くありました。「元々好きな人だったけれど、調べることで別の一面を知ることができた」といった声もあり、調べる過程で興味を深めていたのがわかりました。
興味を持って調べる一方で、インターネットの膨大な情報や、チームメイトそれぞれの興味関心の違いによって変わるリサーチ結果を、ひとつのストーリーとしてまとめるのに苦労したと話す生徒もいました。また、「集めた情報の中から何を取り上げるかを考えてまとめることができましたか」という質問には、82%の生徒が「できた」と回答。たくさんのエピソードから何を選ぶのかを話し合ったり、チームとしてどうまとめるかを試行錯誤することから、自分の着眼点を見つけ出し、それを指針にして情報をまとめていったことが伝わります。
魅力的な作品をつくるためのアイディアを出すことができましたか?
プレゼンの仕方を工夫することができましたか?
フリーコメント
○ 発表が平坦にならないよう、途中に軽いネタを仕込みました。調べる段階ではできるだけ多くの情報を仕入れられるように努力しました。
○ いろいろなハプニングを乗りこえて完成させたドキュメンタリーは、自分たちらしさを出すことができてよかったと思います。
○ よりわかりやすくするための創意工夫で、どのくらいの人が聞いてくれるかが変わるのでワクワクしました。パワーポイントを使って工夫するのが楽しかったです。
○ まだまだテレビでやるようなドキュメンタリー番組には程遠いなと思いました。けれど、情報をまとめ、みんなにわかりやすく伝えようとする機会はあまりないので、貴重な体験になりました。
ー 74%の生徒が、魅力的な作品をつくるためのアイディアを出すことが「よくできた」「できた」と回答し、69%の生徒が、プレゼンの仕方を工夫することが「よくできた」「できた」と回答しました。授業の中では、知らない人にも人物の魅力が伝わるように、名言やエピソードで興味を引き、写真や音楽による演出にもこだわっていました。さらに、実際のニュース映像やテレビ番組、同じ取り組みをした先輩たちのプレゼン映像から表現方法のアイディアを得たり、チーム同士でよかったことや改善点を伝え合ってブラッシュアップに活用したりと、さまざまな創意工夫の先に、個性の光るアウトプットが生まれました。
自分の得意なことや好きなことに気づくことができましたか?
ロールモデルの人生から自分に生かせることを見つけることができましたか?
フリーコメント
○ 発表し終わったときに「よかったよ!」と言われて、何時間もかけてつくった甲斐があったなと思いました。ひとりの人を細かく調べてまとめることは難しかったですが、また機会があれば発表したいです。
○ 発表の仕方を工夫できたことで、自分の可能性が広がった気がしました。
○ 「自己実現をできている人々=自分にしかできないことをやっている人」と思いました。自分にしかできないことを探すのが大事だと思いました。
○ 納得いく発表になりました。ジョージ・ルーカスの半生や名言を知ることができ、自分の人生について考えていきたいと思いました。
ー ドキュメンタリー本編の発表では、多くのチームが、ロールモデルの人生から自分たちが得た生き方のヒントを紹介していました。それを裏付けるように、64%の生徒がロールモデルの人生から自分に生かせることを見つけることが「できた」と回答。「他のチームの発表で、さまざまなロールモデルの人生を見たことで、そうした人物たちに共通する点があることに気がついた」というコメントもありました。また、自分の得意なことや好きなことに気づいていたと答えた生徒は55%でした。「発表をして周りからの感想の声やリアクションを受け取るときの充実感が、自分の得意なこと好きなことを気づかせるきっかけにつながっていた」というコメントから、活動をとおして他者との関係性の中で自分の力を認めていったことが伺えます。
自分の将来についてイメージすることができましたか?
自分の進路について考えるきっかけにできましたか?
フリーコメント
○ 今回、世界に貢献する人や自分の得意を生かして人生を送っている人を知りました。自分が将来何をしたいのか少し想像がつきました。
○ 世界の有名人の人生を知り、その人生を参考にして生きていくことが大切だと思いました。
○ やっていくうちにオードリー・ヘップバーンがたくさんの苦労をしながらも新しい道を生み出していくすごさに感動しました。それを少しでも、実行できたらなと思いました。
ー 進路や将来について考え、イメージする機会となったという問いに対し、「少しできた」の回答も加えると83%の生徒が「できた」と回答。ロールモデルのルーツを調べていく過程で、どんな人物にも自分たちと同じ歳の頃があったこと、自分に重ねて悩みや喜びに共感したり違いに驚いたり、その時々の行動が将来にどのようにつながっていったのかを知る活動の中から、それぞれのタイミングできっかけをつかんでいました。
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