さまざまな分野で活躍した人物の人生を題材に“ドキュメンタリー”を制作する、探究学習プログラム『人間ドキュメンタリーワーク』。
本レポートは、2019年度に『人間ドキュメンタリーワーク』に取り組んだ中学高校の生徒のみなさんを対象に実施したアンケートの結果をまとめたものです。
生徒のみなさんからいただいた感想を集計・分析してワークの内容を改善すること、探究型学習の基盤づくりに貢献することを目的としています。
概要
[調査期間]
・2019年4月1日 ~2020年3月31日
[調査対象]
・4校(東京、埼玉)
[回答数]
・553名
チームワーク力/コミュニケーション力に関するアンケート結果
1. チームで楽しんでワークに取り組むことができましたか?
2. チームで役割分担をすることができましたか?
○ 普段話さない人とも協力することができて楽しかった。(高校2年生)
○ みんなでココ・シャネルの人生について楽しく調べることができました。また、他の班の発表を聞いて、たくさん工夫されていてすごいと思った。(高校1年生)
○ 原稿をつくる人とスライドをつくる人で完全に役割を分けて分担することで効率的に進められた。(高校2年生)
ー 91%の生徒が、チームで楽しんで取り組むことが「とてもよくできた」「できた」と回答しました。ロールモデルの調査やチームでの話し合い、そして調べたことを魅力的に伝えるための準備など、「課題解決」に楽しく取り組んでいたことがわかります。ドキュメンタリーをつくるための役割分担についても、「とてもよくできた」「よくできた」と84%の生徒が回答。感想からは、よりよいプレゼンテーションをするために個々人の力を生かせたことや、与えられた役割を果たすことで充実感を得ていたことがわかります。
3. チームで立てた計画に合わせて活動することができましたか?
4. チーム内のさまざまな意見に気づくことができましたか?
○ チームのみんなと話し合ったり計画したりするのが楽しかった。(中学3年生)
○ 発表の仕方やまとめ方を、みんなで話し合い工夫してできたのでよかった。(高校1年生)
○ ひとりひとりが意見をたくさん出すことが大切だなと思った。(高校1年生)
ー 84%の生徒がチームで立てた計画に合わせて活動することができたと回答しました。加えて感想にも見られるように、計画を立てるための話し合いから楽しめたことが、その後の活動によい影響を与えたことが推測できます。また、チーム内の多様な意見に気づくことができたという生徒は86%いました。題材の人物の人生について、メンバーが各々の個性に応じて理解を深め、互いに意見を出し話し合いながらドキュメンタリーの質を高めていったことが伺えます。
情報収集・活用力/課題発見・解決力/プレゼンテーション力に関するアンケート結果
5. ロールモデルの人生について関心を持って調べることができましたか?
6. 集めた情報の中から何を取り上げるかを考えてまとめることができましたか?
○ 名前は知っていても、実際には何をした人なのか、どんな人なのかを詳しく知らなかったので知ることができてよかった。(高校2年生)
○ ビル・ゲイツの人生は成功の連続だったが、その中で特徴的な内容を取り上げることでメリハリのある内容になった。(高校2年生)
○ みんなに興味を持ってもらえるようにグループでいろいろ工夫してまとめることができた。楽しみながら、野沢雅子さんの人生からいろいろ学ぶことができたのがよかった。(高校1年生)
ー ロールモデルの人生について関心を持って調べられたと90%の生徒が回答しました。ドキュメンタリーをつくるために、ひとつの資料を視点を変えて何度も読み直すなど、意欲的に調べていました。「集めた情報の中から何を取り上げるかを考えてまとめることができましたか」という質問には、83%の生徒が「とてもよくできた」「できた」と回答しました。集めた膨大な情報の中から、自分たちのチームに必要な情報を取捨選択し、聞き手の印象に強く残すため順序やわかりやすさにこだわってまとめたことがわかります。
7. 魅力的な作品をつくるためのアイディアを出すことができましたか?
8. プレゼンの仕方を工夫することができましたか?
○ パワポを作成するときに、ただ調べたことをまとめるわけではなく、聞き手がこのスライドを見たときにどのように感じ、どのように今後の生活に生かしてくれるのかを考えながら作成するのが大変だった。(高校2年生)
○ 視聴者への問いかけや声の強弱をつけたことによって、何を伝えたいのかがわかりやすくなった。(高校2年生)
○ チームのみんなで、どういうふうに工夫すればおもしろく、そして感動させられるプレゼンができるのかなど、いろいろ話し合えた。(高校1年生)
ー 73%の生徒が、魅力的な作品をつくるためのアイディアを出すことが「とてもよくできた」「できた」と回答し、79%の生徒が、プレゼンの仕方を工夫することが「とてもよくできた」「できた」と回答しました。自分たちの発表を見る人の存在を強く意識することで、その人たちの心に届くドキュメンタリーにしようという目標ができ、さまざまなアイディアにつながっていたことがわかります。本番直前の教室では、表情や身振り、タイミングの練習をしたり、インパクトのある写真や音楽をスライドに加えたりと、最後の最後まで思考錯誤する姿が見られました。
自己理解/自己肯定力に関するアンケート結果
9. 自分の得意なことや好きなことに気づくことができましたか?
10. ロールモデルの人生から自分に活かせることを見つけることができましたか?
○ 調べた人物について説明するのが楽しく、とてもためになった。(中学3年生)
○ ロールモデルの人生から学ぶことがたくさんあり、私も嫌なことがあっても折れずに前に進めるようにしていきたいと思った。(高校1年生)
○ 偉人たちの名言や精神は、今の僕たちの心にも残るものがあった。(中学3年生)
ー 68%の生徒が、自分の得意なことや好きなことに気づいたと回答しました。チームメイトと協力して楽しんで取り組んだことで、人前でのプレゼンテーションやパソコンでのスライドづくりにも力を発揮でき、自分の能力や個性を見つけられたことがわかります。
「ロールモデルの人生から自分に活かせることを見つけることができた」という回答は73%でした。感想からも、偉人の人生と深く向き合うことをとおして、何かを成し遂げることの大きなエネルギーに感化されたことがわかります。「同じ生き方はできないまでも参考にしたい」といった声もあり、自分の人生に映して考えながら課題に取り組んだことが伝わります。
11. 自分の将来についてイメージすることができましたか?
12. 自分の進路について考えるきっかけにできましたか?
○ ココ・シャネルの人生を知って自分の将来に、より夢を持つことができた。(高校1年生)
○ プレゼンの形を工夫することで社会において必要なものをいくつか得ることができ楽しかった。(中学3年生)
○ 調べた人の生き方を参考に、自分の人生をよりよいものにしていきたいと思った。(高校1年生)
ー 「自分の将来についてイメージすることができましたか?」という問いに、62%の生徒が「とてもよくできた」「できた」と回答。「少しできた」も加えると89%の生徒が「できた」と答えました。感想からは、ロールモデルの人生を参考にして自分の将来を想い描いただけでなく、プレゼンの準備をする過程での情報収集や資料作成といったの活動が「仕事」の疑似体験となり、将来自分が社会に出て働くイメージを描くことにつながったことが推測できます。また、「少しできた」も含めて87%の生徒が、このワークに取り組んだことで「自分の進路について考えるきっかけになった」と回答しています。偉人も自分たちと同じように進路を模索していたり、挑戦や失敗をしていたことに共感しながら、自然に自分の未来について考えていました。
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