インタビュー

「何にでもなれる」をチームで実感した1年間の“企業インターン”体験〜新潟県立村上中等教育学校生徒インタビュー

新潟県の村上中等教育学校で、2023年度に総合学習で『企業インターンワーク』に取り組み、全国大会で「シチズン時計賞」を受賞した「Crazy Buddies」チームの中野詩さん、大沼芽生さん、佐野芽生さん、馬場蒼央さん、野口七海さんに、この活動を通じて感じたことや学んだことについてお聞きしました。

全国大会でのプレゼンで「Crazy Buddies」チームは、シチズン時計の審査員の方から「自分たちが考えた案を楽しそうに発表し、実現したいという思いが伝わってくる」「耳にのこるフレーズとポーズや、中高生の日常を考え、それに沿った企画を提案している発想力が素晴らしい」と、そのいきいきとしたプレゼン内容とチームワークのよさを高く評価されました。

 

Q.「Crazy Buddies」のチーム名の由来と、活動で工夫していたことを教えてください。

私たちのチーム名は「Crazy Buddies」です!
チームの結成時に「かっこいい単語を2つ組み合わせよう」という話になり、決まりました。
特別な由来はありませんが、活動を通じて「他にはない発想で課題に取り組む」というチームの姿勢を込めています。

チームワークという点でよかったなと思うのは、それぞれの時間を大切にしていたことです。
私たちは「労働基準法の味方!」というサブタイトルをつけて活動していたので、プレゼンのときにも必ず言っているのですが、それぞれの時間も大切にするために学校で集中して取り組んで家では活動しないようにしていました。それと、お互い意見を躊躇することなく伝え合えたのが結果につながったのかなと思います。

 

Q.『企業インターンワーク』に取り組んだ時、最初はどんな気持ちでしたか?

中野さん:
最初は不安が大きかったです。企業から出された「指令」が自分たちにとってあまりにも新しく、具体的にどう進めていいのか全くわからない状態でした。
しかも「実在の企業と関わる」という点で責任感や緊張感があって、最初の数週間は課題に向き合うのが少し怖くも感じていました。

ただ、メンバーと意見を出し合ったり調べはじめたりする中で、徐々に「自分たちのペースで進めればいいんだ」と思えるようになり、楽しさが出てくるようになりました。

大沼さん:
私も最初はとても緊張していました。
「企業からの課題」という響きだけで、「難しいのではないか?」と身構えてしまい、正直に言えば積極的に取り組みたいとは思えませんでした。

でも、過去の先輩たちの活動の様子を聞いたり、企業の方から課題に対するヒントをいただいたりする中で、少しずつ課題へのイメージができるようになって、「挑戦してみたい」という気持ちが芽生えはじめました。

 

Q.活動の中で印象に残ったエピソードを教えてください。

シチズン時計からの「中高生向け腕時計の企画」という課題で、その腕時計の名前を決めるときが一番印象に残っています。デザインや機能はスムーズに決まったんですが、大切な名前がなかなか決まらなかったんですよね・・
ずーっと5人で放課後悩み続けて、最終的に、中高生の未来に向けての時計だから「どんな未来にでもなれる(will be)」と「宝石のように輝き続けられるように」という想いを込めて「`LLB(ルビー)」という名前に決定しました。その名前が生まれた瞬間みんなで盛り上がって、「やったー!!」と喜びを分かち合いました。

全国大会出場に向けた準備では、提案の具体性を高めるために追加で全校生徒の保護者にもアンケートを行ったり、「家の周りは暗くて事故に遭いやすいから、時計に反射板の機能をつけるのはどうだろう?」と考えて実際に近くの道路で効果が出るのかを実験したりしました。

もともとは生徒へのアンケートのみだったんですが、保護者からも200名以上の意見も集まり、説得力のあるデータを得ることができ、アイディアをよりよいものにブラッシュアップすることができたと思っています。

 

Q.全国大会『トゥワイス・アウォード』で特に印象に残ったことは何ですか?

学校での発表は目の前がクラスメイトや保護者の方だったので恥ずかしかったり緊張したりしたのですが、全国大会ではもうみんな「やるしかない!」と振り切ってすごく楽しんでプレゼンできたので、大成功かなと思っています。

他校のチームのプレゼンテーション力の高さや独創的なアイディアに大きな刺激を受けました。

特に印象的だったのは、同じくシチズン時計のインターンチームの「神社の合格祈願に特化した時計」や「サブスクリプション型のサービス」を提案したチームの発表です。

自分たちが考えたこととは全く違う視点から課題にアプローチしていて、アイディアの広がりと深さに驚かされました。

自分たちの発表のあと、結果発表を待つ間は緊張と期待が入り混じった状態で、お昼ごはんが喉を通らないような感覚でした(笑)。

〈大会当日:企業賞を決めるプレゼン。プレゼン後、企業審査員から講評を受けとった〉

実際に「シチズン時計賞」で自分たちのチームの名前が呼ばれた瞬間は、驚きと喜びでいっぱいでした。「他のチームが取りそうだよね」と話していたくらいなので。

その後大ホールでの発表をやったときは、これまで発表してきたような恥ずかしさはなくて、全員で「ここまで来たんだから楽しもう」という気持ちで挑むことができました。

〈大会当日:企業賞(シチズン時計賞)を受賞し、ホールでプレゼンテーション〉

大会全体の雰囲気もとても独特で、このような大きな舞台で発表する経験は一生忘れられないものになりました。

 

Q.この活動を通じて成長したことを教えてください。

中野さん:
「見る側も話す側も楽しめるプレゼン」を目標に掲げていたんですけど、この活動を通じて、どのようにすれば聞き手の心に残るかを意識するようになり、全国大会での成功はその目標が達成できた証だと感じています。
また、将来は高校の国語教員になり、文章や言葉の楽しさを伝えたいという夢がより具体的にイメージできるようになりました。

大沼さん:
物事を多角的に考える力が大きく伸びたと思います。
課題に対して単純に答えるのではなく、関連する情報を調べたり「他の見方はないかな?」と異なる視点から考える習慣がつきました。
もともとは人前で話すのが苦手だったんですけど、何度も発表を経験する中で徐々に抵抗感が薄れて、大胆な表現にも挑戦できるようになりました。

佐野さん:
他人の意見を柔軟に取り入れる姿勢が身につきました。
活動しはじめのときは自分の考えに固執しがちだったんですが、チームメンバーの視点や考えを積極的に受け入れた方がよりよい成果が出せることに気づきました。
自分が得意ではない分野に関しては、他のメンバーに頼りつつ、自分の役割に集中するというチームプレーの重要性も同時に学びました。

野口さん:
チーム内での役割分担を意識することで、自分の強みを生かして、弱みを補ってもらうという協力の力を実感しました。特に、寸劇などの演出を取り入れたプレゼンでは、自分が目立つのではなく、全員が輝ける形を追求することにやりがいを感じました。

馬場さん:
自分のできることと苦手なことが分かり、チームワークで取り組むことができました。
例えば台本作成もこれまでなら全員でやっていましたが、それは得意な人に任せてその分自分が得意なことに時間を使ったりなど、苦手なことも受け入れて、分担できたと思います。
また、話したことのない人の前で話すといつもの自分が出せない、ということが減って堂々と話せるようになりました。

 

Q.これから『企業インターンワーク』に挑戦する後輩たちにメッセージをお願いします。

この活動は、新たな知識や経験を得られる素晴らしい機会です。特に、最初は不安を感じることがあっても、仲間と協力し合うことで必ず乗り越えられます。
自分たちのアイディアを形にして発表する経験は、学校生活では得られない貴重なものです。ぜひ、失敗を恐れずに挑戦してください。また、オンとオフの切り替えも大切です。無理に頑張りすぎるのではなくて、休むべき時にはしっかりと休み、楽しむ時には全力で楽しむことを心がけてください。

全国大会を目指す中で、他チームとの比較や結果に悩むこともあるかもしれませんが、自分たちのチームらしさを大切にし、自分たちなりの目標を見つけることが成功への近道です。
最後に、「楽しむこと」を忘れないでください。活動のプロセス自体を楽しむことで、きっと学びや成長がより実り多いものになります。

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今回のインタビューを通じて、「Crazy Buddies」チームのみなさんが、当初は人前に立つことや挑戦することに消極的だったということに驚きました。

当時の授業の様子や全国大会での発表を見ていた平山先生は、
「全国大会の発表を見ていたのですが、数あるチームの中でも一際ニコニコと楽しそうにやっていました。あんまり人前で発表するのが得意ではない生徒たちなのに、“あんなことをホールでする子たちなんだ”とパフォーマンスにびっくりしましたし、活動をしていく中で自分たちなりに楽しさを見つけたのかなと思います。彼女たちが大きく成長したんだなと実感しました」と笑顔でおっしゃっていました。

トゥワイス・アウォード全国大会に至るまでに乗り越えてきた多くの壁。
振り返って話す中で「つい最近のことなのにすごく前のことに感じる」ということばが出るほど、密度の濃い日々だったことが伝わりました。そのような“仲間と本気で取り組む楽しさ”が、大きな成長や自信につながる秘訣なのだと感じました。

「Crazy Buddies」チームのみなさん、ありがとうございました!

〈TWICE PLAN 冨ヶ原〉